はじめに
年賀はがきは日本の伝統的な文化の一部であり、新年の挨拶として広く利用されてきました。しかし、近年ではその発行枚数が大幅に減少していることが報告されています。本レポートでは、年賀はがきの発行数減少の背景、原因、そして今後の展望について詳しく分析します。
年賀はがきの発行数の推移
歴史的背景
年賀はがきは1949年に初めて発行され、1950年用として利用されました。当初の発行枚数は約1億8000万枚でしたが、その後の日本の経済復興や人口増加に伴い、発行枚数は増加しました。1964年には10億枚、1973年には20億枚を超え、2003年にはピークの44億5936万枚に達しました(Yahoo!ニュース)。
近年の減少傾向
2003年をピークに、年賀はがきの発行枚数は減少傾向にあります。2023年用の発行枚数は16億7690万8000枚で、前年比で約12.1%の減少を記録しました(Yahoo!ニュース)。さらに、2024年用の発行枚数は14億4000万枚と、前年比で約12%減少しています(日本経済新聞)。
発行数減少の原因
デジタルコミュニケーションの普及
年賀はがきの発行数減少の主な原因として、メールやSNSの普及が挙げられます。これらのデジタルツールは、迅速かつ手軽に新年の挨拶を送る手段として利用されており、年賀はがきの需要を減少させています。2020年の調査では、新年の挨拶にLINEなどのメッセージアプリを利用する人が74.7%に達し、年賀状の60.7%を上回りました(Yahoo!ニュース)。
経済的要因
年賀はがきの価格上昇も発行数減少の一因です。2019年には1枚63円に値上がりし、2025年には85円にまで引き上げられる予定です。この価格上昇は、年賀はがきを出すことへの経済的負担を増大させ、多くの人々が年賀はがきを出すことを控える要因となっています(産経新聞)。
社会的要因
個人情報保護の観点から、住所を知らない相手に年賀はがきを送ることが難しくなっています。これにより、年賀はがきを出すことが煩雑であると感じる人が増え、発行数の減少につながっています(ふたば年賀)。
年賀はがきの未来
新たなサービスの登場
インターネットを利用して、住所を知らない相手にも年賀はがきを送ることができるサービスが登場しています。これにより、年賀はがきの需要が一部回復する可能性があります(Yahoo!ニュース)。
年賀状じまいの増加
「年賀状じまい」という言葉が定着しつつあり、年賀状を出すことをやめる人が増えています。特に高齢者を中心に、終活の一環として年賀状じまいを行う人が増加しています(たゆあめライフ)。
結論
年賀はがきの発行数は、デジタルコミュニケーションの普及、経済的負担の増加、社会的要因などにより減少しています。今後もこの傾向は続くと予想されますが、新たなサービスの登場や年賀状じまいの増加など、年賀はがきのあり方は変化し続けるでしょう。年賀はがきの文化を維持しつつ、現代のニーズに合わせた新しい形を模索することが求められています。
参考文献
- Yahoo!ニュース. (2023). 年賀葉書の発行枚数などをさぐる(2023年用確定報版)
- 日本経済新聞. (2023). 発行枚数 24年用は12%減
- 産経新聞. (2024). 来年用の年賀はがき、発行25%減の10億7千万枚 85円に値上げで需要減見込む
- ふたば年賀. (2023). 年賀状のお役立ち情報サイト
- たゆあめライフ. (2023). 年賀状の2024発行枚数と推移を調査!